日本政府観光局(JNTO)が2026年1月21日に発表した「2025年12月訪日外国人数(推計値)」は3,617,700人となり、前年同月比3.7%増で、12月として過去最高を更新しました。
また、2025年の年間訪日外国人数は42,683,600人に達し、前年比15.8%増と、過去最多であった2024年を580万人以上上回り、年間で4,200万人を突破しました。
12月はスクールホリデーやクリスマス、年末年始に向けた旅行需要が本格化する時期であり、東アジアでは韓国・台湾、東南アジアではマレーシア・タイ、欧米豪では米国・カナダを中心に訪日需要が拡大したことが、全体の押し上げ要因となりました。
単月・年間ともに「過去最高」が相次ぐ結果に
12月単月では韓国、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの7市場で単月過去最高を更新しました。
さらに台湾、米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域、中東地域など14市場で「12月として過去最高」を記録しています。
年間累計では20市場で過去最高となり、特に豪州は初めて年間100万人を突破し、中国、韓国、台湾、米国、香港、タイに次ぐ7番目の“年間100万人超市場”となりました

主要市場別の動向(12月)
12月の訪日外国人数を主要市場別に見ると、以下の通りです。
- 韓国:974,200人(前年同月比12.3%増)
- 台湾:588,400人(同19.8%増)
- 中国:330,400人(同45.3%減)
- 香港:291,100人(同1.9%増)
- アメリカ:270,700人(同13.5%増)
- カナダ:57,200人(同18.5%増)
- 豪州:121,300人(同7.8%増)
市場ごとに増減の差はあるものの、スクールホリデー×航空供給×円安という構造的な追い風が、多くの市場で訪日需要を支えました。
※本グラフは転載可能です
中国・香港の動きから見える「市場としての違い」
2025年12月のデータを見ると、中国からの訪日外客数は前年同月比45.3%減と大きく落ち込んだ一方で、香港は前年同月比1.9%増と、単月として過去最高を更新しました。同じ「中華圏」と括られがちな両市場ですが、今回の結果は両者を同一視することのリスクを改めて示していると言えます。
中国本土では、政府による日本への渡航に関する注意喚起や航空便の減少といった政策・供給面の影響が、訪日需要に強く表れました。一方、香港では航空座席数が前年より減少していたにもかかわらず、スクールホリデー需要に支えられ、訪日客数は増加しています。この差は、政策や情報統制の影響を受けやすい中国本土と、比較的個人の意思決定が旅行行動に反映されやすい香港という市場構造の違いを示しているとも考えられます。
近年、香港は中国に取り込まれつつあるという見方もありますが、少なくとも訪日旅行という文脈においては、市民感情や行動様式が完全に中国本土と一体化しているとは言い切れません。旅行先の安全性や魅力をどう捉えるか、どのタイミングで動くかといった点で、香港市場は依然として独自の特性を持っているように見受けられます。
こうした状況を踏まえると、香港向けの施策と、中国本土向けの施策を同じ設計で考える必要はないとも言えそうです。
東アジア
韓国
2025年12月の韓国からの訪日外客数は974,200人で、前年同月比12.3%増となり、単月として過去最高を記録しました。継続する訪日旅行人気に加え、金浦~関西、仁川~関西間の増便など航空座席数の増加が需要を押し上げました。大学生を中心とした若年層の訪日需要も活発で、短期・高頻度型の旅行スタイルが12月の需要拡大に直結しました。
台湾
台湾からの訪日外客数は588,400人(前年同月比19.8%増)となり、12月として過去最高を更新しました。台南~熊本、台南~那覇の新規就航や、台北桃園~新千歳の増便など地方路線を含む航空座席数の拡充が大きく寄与しました。台湾市場はリピーター比率が高く、冬季の日本旅行との親和性も高いことから、安定した成長が続いています。
中国
中国からの訪日外客数は330,400人(前年同月比45.3%減)となりました。訪日需要が落ち着く時期であることに加え、中国政府による日本への渡航に関する注意喚起や航空便の減便が影響し、前年同月を大きく下回りました。年間累計では大幅増となっているものの、12月単月では調整局面が鮮明となりました。
香港
香港からの訪日外客数は291,100人(前年同月比1.9%増)となり、単月として過去最高を記録しました。前年同月と比べて航空座席数は減少していたものの、スクールホリデー需要が下支えとなり、堅調な結果となりました。香港市場は短期旅行中心で、休暇タイミングの影響を受けやすい特徴があります。
豪州・北米
アメリカ
アメリカからの訪日外客数は270,700人(前年同月比13.5%増)となり、12月として過去最高を更新しました。継続的な訪日旅行人気に加え、航空座席数の増加や12月下旬からのスクールホリデーが需要を後押ししました。年間累計では330万人超となり、日本にとって最重要の長距離市場の一つとして存在感をさらに高めています。
カナダ
カナダからの訪日外客数は57,200人(前年同月比18.5%増)で、12月として過去最高を記録しました。航空供給の増加とスクールホリデー需要が重なり、冬季の訪日旅行が堅調に推移しました。自然・文化体験への関心が高く、地方観光との相性も良い市場です。
豪州
豪州からの訪日外客数は121,300人(前年同月比7.8%増)となり、12月として過去最高を更新しました。パース~成田の増便や、シドニー~新千歳の復便に加え、12月下旬から始まったスクールホリデーが需要を押し上げました。年間累計では初めて100万人を突破し、豪州市場の存在感が一段と高まっています。
※本グラフは転載可能です
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