日本政府観光局(JNTO)が2025年12月17日に発表した「2025年11月訪日外国人数(推計値)」は351万8,000人となり、前年同月比10.4%増となりました。
1月から11月までの累計訪日外国人数は3,906万5,600人に達し、年間で過去最高を記録した2024年(3,687万148人)を11月時点で上回る結果となっています。
11月は紅葉シーズン後半にあたり、欧米豪・中東を中心に訪日需要が高水準で推移しました。東アジアでは韓国・台湾、東南アジアではマレーシア・インドネシア、欧米豪では米国・カナダを中心に訪日外国人数が増加したことが、全体の押し上げ要因となりました。
韓国、台湾、米国など19市場で11月として過去最高を更新し、さらに11月までの累計では17市場で年間過去最高を記録しています。加えて、米国は累計300万人を初めて突破し、中国・韓国・台湾に次ぐ4番目の市場となりました。

計測市場の多くで11月として過去最高を記録
11月の訪日外国人数を主要市場別に見ると、多い順に以下の結果となりました。
- 韓国:824,500人(前年同月比10.0%増)
- 中国:562,600人(同3.0%増)
- 台湾:542,400人(同11.1%増)
- アメリカ:302,500人(同22.2%増)
- 香港:207,600人(同8.6%減)
東アジア市場では台湾・韓国が堅調に推移し、北米市場では米国・カナダともに大きな伸びを示しました。一方、香港は航空座席数の減少などの影響により前年同月を下回っています。
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東アジア
韓国
2025年11月の韓国からの訪日外客数は824,500人で、前年同月比10.0%増となり、11月として過去最高を記録しました。継続する訪日旅行人気に加え、仁川~成田間、仁川~鹿児島間の増便など航空座席数の増加が需要を後押ししました。韓国市場は短期・高頻度の旅行が多く、航空供給の拡大が訪日需要に直結しやすい特徴があります。円安基調も続いており、ショッピングやグルメを目的とした訪日が堅調に推移しました。
台湾
台湾からの訪日外客数は542,400人(前年同月比11.1%増)となり、11月として過去最高を更新しました。台北桃園~神戸間の増便をはじめとした航空座席数の増加が寄与し、紅葉シーズン後半の観光需要を取り込みました。台湾は訪日リピーター比率が高く、地方都市への分散も進んでいる成熟市場であり、安定した成長が続いています。
中国
中国からの訪日外客数は562,600人(前年同月比3.0%増)となりました。11月は訪日需要が落ち着く時期であることに加え、中国政府から日本への渡航に関する注意喚起が出される場面もありましたが、前年の冬ダイヤ期と比較して航空座席数が増加していたことが下支えとなり、前年同月を上回る結果となりました。伸び率は他市場に比べ控えめながら、引き続き最大級の訪日市場であることに変わりはありません。
香港
香港からの訪日外客数は207,600人(前年同月比8.6%減)となりました。クルーズ船の寄港はあったものの、前年の冬ダイヤ期と比べて航空座席数が減少していたことが影響し、訪日客数は前年同月を下回りました。香港市場は航空供給の変動に敏感であり、今後は便数回復が需要回復の鍵となります。
豪州・北米
アメリカ
アメリカからの訪日外客数は302,500人(前年同月比22.2%増)となり、11月として過去最高を更新しました。継続する訪日旅行人気に加え、祝日需要、航空座席数の増加、クルーズ需要の高まりなどが重なった結果です。累計では初めて300万人を突破し、日本にとって極めて重要な長距離市場として存在感を一段と高めています。
カナダ
カナダからの訪日外客数は62,500人(前年同月比32.0%増)となり、11月として過去最高を記録しました。秋はもともと訪日需要が高まるシーズンであることに加え、前年同月比で航空座席数が増加したことが需要拡大に寄与しました。自然・文化体験への関心が高いカナダ市場では、紅葉シーズンの日本が強い訴求力を持っています。
豪州
豪州からの訪日外客数は85,600人(前年同月比6.6%増)となり、11月として過去最高を更新しました。減便により座席供給は制限されていたものの、継続する訪日旅行人気やクルーズ需要の高まりが下支えしました。豪州市場は日本の秋冬シーズンと旅行需要が重なりやすく、安定した訪日動向が続いています。
※本グラフは転載可能です
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