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訪日経験がある台湾消費者の83%が、帰国後も越境ECで購買し続ける【台湾消費者の日本商品購買行動レポート 2026】

作成者: 橿村芽久未|Mar 29, 2026 11:07:18 PM

本レポートは、株式会社ジグザグとDigima〜出島〜が共同発行する「越境EC・ウェブインバウンド®︎白書2026(Vol.4)」の台湾データを独立したレポートとして再編集し、深掘り分析したものです。台湾在住者300名への調査データをもとに、台湾消費者の情報収集行動・購買チャネル・決済手段・訪日経験との関係性を多角的に整理し、日本企業が台湾市場を正しく理解するための情報を提供します。

 

1. 台湾市場の戦略的重要性

2025年、台湾から日本を訪れた人は676万人。前年(2024年・604万人)をさらに上回り、2年連続で過去最高を更新しました(出典:日本政府観光局・JNTO)。同年の訪日台湾人による旅行消費額も1兆2,110億円と、こちらも過去最高を記録しています。

台湾の総人口は約2,300万人。単純計算で国民の約3人に1人が2025年に日本を訪れた計算になります。訪日客数・消費額ともに拡大を続ける台湾は、インバウンド市場としてだけでなく、越境ECの観点からも見逃せない局面を迎えています。

 

1-1. 越境EC展開先ランキングで台湾が「第2位」に浮上

海外ビジネス支援プラットフォーム「Digima〜出島〜」への2026年度越境EC相談データ(n=373件)によると、台湾は全展開先の中で10.2%を占め、アメリカ(16.2%)に次ぐ第2位となりました。2023年の7.1%(第4位)から3年連続で順位を上昇させており、日本企業の関心が急速に高まっています。

日本企業:展開先国

1-2. 台湾消費者の「日本への近さ」は他国と一線を画す

今回の調査では、越境EC利用率79%・訪日経験率82.3%という、調査7カ国中でも高い数値が確認されました。訪日経験者の83.8%が越境ECも利用しており、リアルとオンラインの両面で日本との深い接点を持つ消費者が市場の主力層を形成しています。

7カ国:越境EC利用率・訪日経験率

訪日経験率1位の香港(89.7%)は人口約750万人の市場です。台湾は人口約2,300万人と香港の3倍の規模を持ちながら、ほぼ同水準の訪日親和性を持っており、絶対数としての市場ポテンシャルについては台湾が高いといえます。

 

💡台湾の「日本親和性」を示す3つの数字

・越境EC利用率 79%

・訪日経験率 82.3%

・訪日経験者の越境EC利用率 83.8%

 

単なる購買ニーズにとどまらず、実体験を伴った日本理解が購買を後押しする市場であることが数字から読み取れます。

 

2. 情報収集・検索行動の実態

訪日経験者の83%が越境ECを利用するこの市場では、購買に至るまでの情報収集プロセスを理解することが特に重要です。台湾消費者がどのような情報収集行動を取り、何を信頼の根拠にするのかを把握することが、台湾市場攻略の第一歩となります。


2-1. 台湾独自のSNS環境:Facebook・Youtube・LINEが三本柱

台湾ユーザーのSNS活用状況は他国と大きく異なります。Facebook(93.3%)・YouTube(92.3%)・LINE(92.3%)という3プラットフォームがほぼ同水準でトップを占め、生活インフラとして深く定着しています。特徴的なのは、台湾発の掲示板型SNS「Dcard」(日常利用41%・情報収集25.7%)の存在です。匿名性が高く本音のレビューが集積するメディアとして若年層を中心に強い影響力を持っており、購買前の「最終確認」の場として機能しています。

台湾:SNS利用率

【*注記:Threadsについて】本調査(2025年9月実施)のアンケート設計時点ではThreadsが選択肢に含まれていませんでした。ただし台湾はアジア太平洋地域においてThreadsの普及が早い市場のひとつとされており、特にInstagramユーザー層(20〜40代)を中心に情報収集・ブランド発見の場として利用が拡大しています。次回調査以降はThreadsを独立した計測軸として追加する予定です。台湾向けのソーシャルメディア戦略を検討する際は、本表に加えてThreadsも注視することを推奨します。

 

2-2. 検索エンジンが起点、SNSと口コミが補完する多層構造

検索利用ツールでは、検索エンジン(83%)がトップで、SNS(59.7%)・公式サイト(58.7%)・口コミサイト(49.3%)・友人知人の紹介(48%)と続きます。中国市場のようにSNS内で購買判断が完結するケースは少なく、台湾では「検索→公式情報→第三者評価・口コミ」という多段階の情報確認行動が一般化しています。

 

💡 台湾消費者の情報収集プロセス(典型パターン)

① 検索エンジンで商品・ブランドを能動的に検索

② Facebook・LINE・YouTubeで公式情報・動画レビューを確認

③ Dcard・口コミサイトで第三者の本音評価を照合

④ 信頼が積み上がった段階でECプラットフォームまたは公式サイトで購入

 

2-3. 訪日経験者ほど「情報感度」が高い

訪日経験の有無によって情報収集行動に明確な差が生まれています。訪日経験者はFacebook(82.6%)・LINE(81.4%)・YouTube(72.9%)をフル活用しながら、さらにInstagram(63.2%)やDcard(27.9%)も組み合わせる多チャネル型の行動を取ります。検索エンジン(84.6% vs 75.5%)・公式サイト(62.4% vs 41.5%)・口コミサイト(52.2% vs 35.9%)のすべてで訪日経験者が高く、「一次情報と第三者評価の両方を徹底確認する」購買姿勢が特徴です。

台湾:情報収集手段×訪日経験

訪日体験が情報感度を高め、より深い購買行動につながる。

次章ではその購買行動の実態を見ていきます。

 

3. 購買行動:カテゴリ・チャネル・決済

情報収集の入念さと同様に、台湾消費者の購買行動にも訪日経験の有無が色濃く反映されています。どのカテゴリで買われ、どのチャネルが使われ、どの決済手段が選ばれるのか。データから台湾市場の購買構造を読み解きます。

 

3-1. 興味関心と購買の一致度が高く、「迷わず買う」市場

台湾消費者の興味・関心と実際のEC購買ジャンルを比較すると、両者の傾向が概ね一致しており、「関心が購買に直結しやすい」市場特性が確認されました。特筆すべきはファッションで、関心(50.3%)を購買(53.0%)が上回る「逆転現象」が見られます。比較検討よりも購入決断が早い傾向を示しています。

台湾:興味・関心ジャンルとEC購買ジャンル

アニメ・コミックは関心(61.7%)と購買(36%)の間に25ptのギャップがあります。コンテンツ視聴・情報消費として楽しんでいるが購買には至っていない層が一定数存在しており、グッズ・関連商品への誘導施策の余地が大きいカテゴリといえます。


3-2. 「Shopee」一強の日常EC市場と、公式サイト経由顧客の特性

台湾のECプラットフォーム利用状況を見ると、Shopee Taiwanが92.7%と圧倒的な浸透率を誇り、台湾消費者にとって「ECで買う」と「Shopeeで買う」がほぼ同義になっています。次点はYahoo台湾(45.3%)・TAOBAO(39%)・楽天(31.7%)で、日本系ECとして楽天が一定の存在感を持っています。

台湾:利用プラットフォーム

【*注記:台湾ローカルECプラットフォームについて】本調査の選択肢にはmomo(富邦媒體)・PChomeといった台湾国内主要ECは含まれていません。実際の台湾EC市場ではmomoが国内流通額でShopeeと並ぶ主要プレイヤーであり、特に家電・日用品・食品カテゴリでの存在感が強い。台湾向けECの展開を検討する際は、本調査のデータに加えてmomo・PChomeも選択肢として考慮する必要があります。

 

公式サイト経由の購買は29.7%にとどまっており、台湾消費者の日常的な購買行動がECモール中心で完結している実態を示しています。一方、前述の通り、情報収集では公式サイトを参照する割合が58.7%に達しており、「モールで発見し、公式サイトで確認する」という行動パターンが存在することもデータから読み取れます。

 

💡 読み解きポイント

Shopeeの高い普及率は「発見・比較検討の場」としての側面が大きいと考えられます。台湾消費者がShopeeで商品を知り、ブランドの公式サイトで詳細を確認して購入するという行動パターンは、情報収集データ(公式サイト参照率58.7%)と整合します。モールと公式サイトは「競合」ではなく「連動」する関係として設計することが台湾市場では特に重要です。

 

3-3. 台湾独自の決済構造:クレジット一強ではない

台湾消費者のオンライン購入時決済手段は、クレジットカード(73%)が最多ですが、台湾市場の特徴として「代金引換」(56.7%)・「コンビニ払い」(40.7%)という実店舗連動型決済の割合が他国と比較して際立って高い水準にあります。また、LINE Pay(41%)がデジタル決済として広く定着しています。越境ECを含む海外向け販売においても、これらのローカル決済への対応有無が購買転換率に直接影響します。

台湾:決済方法

【*注記:JKO Pay(街口支付)について】本調査のアンケート選択肢にはJKO Payは含まれていませんでしたが、ユーザー数700万人超を誇る、台湾国内で広く普及しているローカルQR決済サービスです。コンビニ・飲食・ECでの日常利用が定着しており、特に20〜40代の若年層を中心に支持されています。台湾向けECの決済設計においては、本調査の選択肢に加えてJKOPAYへの対応有無も検討要素として加える必要があります。

 

なお、決済の多様性においても訪日経験者ほどグローバルな選択肢を使いこなす傾向があります。次章ではその訪日経験と越境ECの関係を数字で検証します。

 

4. 訪日経験と越境ECの「相乗効果」

4-1. 調査7カ国中でも特出した「訪日×越境EC」の連動

台湾の訪日経験率82.3%は調査7カ国中2位(1位は香港89.7%)の高水準です。そして訪日経験者の83.8%が越境ECを利用しており、日本での体験が帰国後のオンライン購買に直結する構造が確認されました。一方、訪日未経験層でも56.6%が越境ECを利用しており、訪日前から日本商品への関心が購買行動につながっている実態も示しています。

台湾:訪日経験・越境EC利用率

4-2. 訪日経験が「関心の幅」を広げる

興味・関心ジャンルを訪日経験の有無で比較すると、ライフスタイル系カテゴリで特に大きな差が現れています。ファッション(55.5% vs 26.4%)・ホーム家具(59.1% vs 22.6%)・美容ヘルスケア(54.3% vs 28.3%)では訪日経験者が2〜3倍の関心を示しており、日本での実体験がモノ・ライフスタイルへの関心を大きく拡張させていることが分かります。

台湾:興味・関心ジャンル×訪日経験

アニメ・コミック・食品は訪日経験を問わず高い関心を維持しており、これらは訪日未経験層への最初の接点として機能しやすいカテゴリです。一方、ファッション・ホーム家具・美容は訪日体験なしには関心が喚起されにくく、実体験の重要性が際立ちます。

 

4-3. 訪日経験者はECプラットフォームの選択肢も広い

ECプラットフォームの利用状況を訪日経験の有無で比較すると、Shopee Taiwanは両者ともに高い(訪日あり94.7%・訪日なし83%)一方、TAOBAO(42.9% vs 20.8%)・楽天(35.6% vs 13.2%)・Amazon.com(32.4% vs 14.2%)など越境・海外ECは訪日経験者で顕著に高くなっています。日本での購買経験が海外ECへの心理的ハードルを大きく下げる効果を持っていることが読み取れます。

 

5. 日本企業への示唆

本章では、ここまでのデータから日本企業が台湾市場を攻略する上で押さえておくべき示唆を整理します。


示唆① 台湾向けの情報発信は「検索→公式情報→口コミ」の三段構えで設計する

台湾消費者はSNS一辺倒ではなく、検索エンジン・公式サイト・口コミを組み合わせて判断します。SNSでの認知だけでなく、検索でヒットする公式コンテンツの整備と、Dcard・口コミサイトでの評判形成をセットで設計することが重要です。TikTok主導で攻略できる東南アジア市場とは明確に異なるアプローチが求められます。


示唆② LINE・Facebookを最優先チャネルに据え、口コミ形成を「信頼の最終関門」として意識する

情報収集SNSとしてLINEとFacebookがともに79%という圧倒的な数値を示しています。LINE公式アカウント・Facebook企業ページの繁体字中国語での運用は台湾向けマーケティングの基本インフラです。加えて、台湾消費者は購買前に口コミサイトや第三者評価を確認する傾向が強く(口コミサイト参照率49.3%)、Dcardをはじめとする口コミ形成への継続的な取り組みが購買転換において重要な役割を果たします。


示唆③ ローカル決済への対応が購買転換率に直結する

クレジットカードのみの決済設計では台湾消費者の約4割(代金引換56.7%・コンビニ払い40.7%への需要層)を取りこぼすリスクがあります。越境ECにおいても台湾ローカル決済への対応有無が購買障壁に直結します。代金引換・コンビニ払い・LINE Payに加え、若年層を中心に普及するQR決済(JKO Pay等)も含めた決済設計が、台湾消費者の購買ハードルを下げる鍵となります。


示唆④ 訪日前から接点を作り、帰国後の購買を越境ECで「迎える」設計をする

訪日経験者の越境EC利用率83.8%という数字は、訪日という体験が購買の起爆剤になることを示しています。訪日前のSNS認知・訪日中の実店舗体験・帰国後の越境ECでの購買という3段階の接点を連続した体験として設計することで、一過性のインバウンド消費を長期的なファンへと転換できます。


示唆⑤ ファッションとアニメ・コミックは対照的な攻め方が必要なカテゴリ

ファッションは関心(50.3%)を購買(53%)が上回る唯一のカテゴリで、「迷わず買う」傾向が強いのが特徴です。訪日経験者では関心が55.5%まで高まり、実体験が購買意欲を大きく後押しします。訪日中のリアル接点からオンライン購買へつなぐ設計が特に有効なカテゴリといえます。

一方アニメ・コミックは関心(61.7%)と購買(36%)の間に25ptのギャップがあります。訪日未経験者でも54.7%の関心を持つエントリーカテゴリとして機能しますが、関心を購買に変換するための具体的な動線設計が別途必要です。

 

6. 調査概要・出典

本レポートの元データ:「越境EC・ウェブインバウンド®︎白書 2026」

7カ国×2,100名の全調査データ+越境EC活用企業の実態調査を収録した完全版

 

本白書に含まれる内容

・世界の越境EC市場規模・アメリカ・中国・東南アジアの市場動向

・中国・アメリカ・台湾・香港・韓国・シンガポール・マレーシア

 7カ国・計2,100名の消費者調査

・SNS利用・情報収集・購買行動・決済・訪日経験の国別詳細データ

・越境EC活用企業117社の実態調査(商材・予算・販売方法・課題)

 

越境EC・ウェブインバウンド®︎白書2026

 

▼ 無料ダウンロードはこちら

https://www.worldshopping.biz/whitepaper/crossborder_ec_webinbound2026

 

 

調査概要

※本レポートは「越境EC・ウェブインバウンド®︎白書2026」の台湾データを再編集・深掘り分析したものです。数値の引用・転載にあたっては出典の明記をお願いします。

※「ウェブインバウンド®」は株式会社ジグザグの登録商標です。

※Threadsに関する記述は本調査の直接の計測対象ではありません。

※JKOPAY(街口支付)に関する記述は公開情報に基づく補足情報であり、本調査のアンケート選択肢には含まれていません。

 

企業情報

会社名 :株式会社ジグザグ
上場区分:東証グロース(340A)
代 表 :仲里 一義
設 立 :2015年6月
所在地 :東京都渋谷区桜丘町14-1
事業内容:
・WorldShopping BIZ:EC事業者向け海外販売支援サービスの開発・提供
https://www.worldshopping.biz/
・WorldShopping:海外カスタマー向け購入代行サービスの開発・提供
https://www.worldshopping.global/
・インバウンドナビ:訪日インバウンド向け店舗誘導最適化サービス
https://www.worldshopping.biz/blog/inbound-navi/