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【図解】訪日外国人数、9月は310万人で前年比5.0%減!中東情勢による航空券高騰と台風が全体の重しに、韓国など7市場は9月最高・累計は3,000万人超-日本政府観光局(速報)

作成者: Law(青木 哲郎)|Oct 21, 2026, 8:15:47 AM

日本政府観光局(JNTO)が2026年10月21日に発表した「2026年9月の訪日外客数(推計値)」によると、9月の訪日外国人数は3,103,700人となり、前年同月比で5.0%減となりました。

 

中東情勢による航空券価格の上昇が欧米・東南アジアを中心に広く重しとなり、航空便の減便や台風による欠航の影響も重なって、多くの市場で前年同月を下回りました。一方で、愛知県で開催されたアジア競技大会に伴う訪日や、秋夕(チュソク)連休などを背景に、韓国・中東地域など7市場が9月として過去最高を記録しています。

 

また、2026年1月〜9月の累計は3,073万200人となり、前年同期比2.9%減ながら、昨年に引き続き9月までの累計で3,000万人を超えました。中国の大幅な落ち込みが続く中でも、累計の訪日需要が高水準を維持していることがわかります。

 

「中国一極」の重しから「中東情勢による航空券高騰」が広く波及する構図へ

9月の前年同月比マイナスには、これまでとは異なる構造的な変化が見られます。

 

最大の要因は、中東情勢による航空券価格の上昇です。欧州・北米・豪州といった長距離市場から東南アジアまで、幅広い市場で航空券価格の高騰が訪日需要の重しとなりました。これまで全体を押し下げてきた中国の落ち込みは、前年同月比44.5%減と大幅減ではあるものの、6月(57.3%減)からは下げ幅が縮小しています。「中国一市場の急落」が主因だったこれまでの構図から、「外部環境による航空券高騰が多市場に広く波及する」構図へと変化した月といえます。

 

これに加え、2026年9月は台風による航空便の欠航が発生したほか、タイでの洪水、インドネシアでの火山噴火による現地空港の一時閉鎖、ヒースロー空港での航空管制システム障害など、各地の一時的な要因も重なりました。

 

一方で、継続する訪日旅行人気そのものは幅広い市場で確認されており、秋夕連休や航空座席数の増加、各市場の祝日需要などを背景に、韓国・台湾・シンガポール・インド・メキシコ・ロシア・中東地域の7市場が9月として過去最高を更新しています。

 

※本グラフは転載可能です

 

国・地域別に見ると、以下のような傾向が見られます。
  • 韓国(84.2万人/+25.6%):秋夕連休と航空座席数の増加で9月として過去最高
  • 台湾(59.6万人/+13.0%):4連休と航空座席数の増加で9月として過去最高
  • 中国(43.1万人/-44.5%):渡航自粛喚起・減便で前年割れが続くも下げ幅は縮小
  • 中東地域(3.8万人/+27.0%):祝日と航空便の増便で9月として過去最高
  • 米国(21.8万人/-3.2%):中東情勢による航空券高騰と台風欠航が影響

 

 

国別動向

アジア

東アジア

韓国

2026年9月の韓国からの訪日外客数は842,300人で、前年同月比25.6%増となり、9月として過去最高を記録しました。台風による航空便の欠航の影響はあったものの、継続する訪日旅行人気に加え、秋夕(チュソク)連休や航空座席数の増加が需要を大きく押し上げました。累計(1〜9月)でも前年同期比21.6%増と際立った伸びが続いており、9か月で826万人超に達しています。

 

中国

中国からの訪日外客数は430,800人で、前年同月比44.5%減となりました。昨年11月以降、中国政府より日本への渡航を避けるよう複数回の注意喚起があったことが引き続き影響しています。中秋節や国慶節の連休による需要はあったものの、航空便の減便などもあり前年同月を下回りました。ただし、下げ幅は年前半(6月は57.3%減)と比べて縮小しています。累計(1〜9月)では前年同期比55.5%減となっています。

 

台湾

台湾からの訪日外客数は595,600人で、前年同月比13.0%増となり、9月として過去最高を記録しました。台風による航空便の欠航の影響はあったものの、継続する訪日旅行人気に加え、4連休や航空座席数の増加が需要を支えました。累計(1〜9月)でも前年同期比19.1%増と、韓国とともに東アジア市場を力強く牽引しています。

 

香港

香港からの訪日外客数は145,000人で、前年同月比3.0%減となりました。継続する訪日旅行人気はあるものの、クルーズ船の寄港減少や台風による航空便の欠航が影響しました。

 

東南アジア

タイ

タイからの訪日外客数は44,800人で、前年同月比12.6%減となりました。台風による航空便の欠航や9月下旬に発生した現地での洪水に加え、航空便の減便、中東情勢による航空券価格の上昇、訪中旅行の継続的な人気などが影響しました。

 

シンガポール

シンガポールからの訪日外客数は43,000人で、前年同月比6.2%増となり、9月として過去最高を記録しました。中東情勢による航空券価格の上昇はあったものの、スクールホリデーやシンガポール〜那覇間の復便(2025年12月)、継続する訪日旅行人気が需要を押し上げました。

 

マレーシア
マレーシアからの訪日外客数は35,300人で、前年同月比19.5%減となりました。クアラルンプール〜福岡間の復便や継続する訪日人気はあるものの、スクールホリデーと祝日の期ずれ、中東情勢による航空券価格の上昇、訪中旅行の人気などが影響しました。

 

インドネシア・フィリピン
インドネシアは44,000人(-0.2%)とほぼ前年同月並み。継続する訪日人気がある一方、火山噴火による現地空港の一時閉鎖や祝日の期ずれ、台風による欠航、航空券価格の上昇が重しとなりました。フィリピンは42,800人(-17.1%)で、今年は大型クルーズ船の寄港がなかったことに加え、航空便の減少や航空券価格の上昇が影響し、前年同月を下回りました。

 

ベトナム
ベトナムからの訪日外客数は45,800人で、前年同月比9.2%減となりました。ハノイ〜静岡間の新規就航(2026年4月)の効果はあるものの、中東情勢による航空券価格の上昇や訪中旅行の継続的な人気が影響しました。なお、留学・技能実習等を含む多様な訪日者層を持つ市場である点には留意が必要です。

 

インド
インドからの訪日外客数は27,600人で、前年同月比8.7%増となり、9月として過去最高を記録しました。台風による欠航や航空券価格の上昇はあったものの、祝日に加え、デリー〜成田間の新規就航(2026年1月)やムンバイ〜羽田間の新規就航(2026年6月)が継続して訪日需要を押し上げています。累計(1〜9月)でも前年同期比19.0%増と、南アジア市場としての勢いが続いています。

 

豪州・北米

カナダ・豪州

カナダは49,300人(-11.4%)、豪州は90,700人(-6.1%)で、ともに前年同月を下回りました。いずれも継続する訪日人気はあるものの、中東情勢による航空券価格の上昇や台風による欠航が重しとなり、カナダではさらに一部の州における祝日の期ずれも影響しました。

 

米国
米国からの訪日外客数は217,500人で、前年同月比3.2%減となりました。継続する訪日旅行人気はあるものの、中東情勢による航空券価格の上昇や台風による航空便の欠航が影響しました。なお、累計(1〜9月)では前年同期比5.2%増と、年間を通じては堅調な水準を維持しています。

 

メキシコ
メキシコからの訪日外客数は22,300人で、前年同月比13.0%増となり、9月として過去最高を記録しました。継続する訪日旅行人気に加え、9月中旬の祝日期間の需要増が寄与しました。累計(1〜9月)でも前年同期比25.8%増と、北中米の中でも高い伸びを示しています。

 

欧州

英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・ロシア

欧州市場は、中東情勢による航空券価格の上昇の影響で多くの国が前年同月を下回りました。英国は45,200人(-4.1%、航空券高騰に加えヒースロー空港の航空管制システム障害やクルーズ船寄港減)、フランスは35,700人(-8.0%)、ドイツは46,100人(-12.7%)、イタリアは26,100人(-9.7%)、スペインは23,800人(-3.6%)といずれもマイナス。一方でロシアは23,700人(+11.9%)と、ウクライナ侵攻に伴う制裁の影響が続く中でもクルーズ船の寄港などが寄与し、9月として過去最高を記録しました。

 

北欧地域

北欧地域(スウェーデン・デンマーク・ノルウェー・フィンランド)からの訪日外客数は16,600人で、前年同月比4.5%減となりました。継続する訪日人気はあるものの、中東情勢による航空券価格の上昇が影響しました。

 

中東地域

中東地域からの訪日外客数は37,700人で、前年同月比27.0%増となり、9月として過去最高を記録しました。継続する訪日旅行人気に加え、9月中旬のイスラエルにおけるユダヤ教の祝日や航空便の増便が需要を押し上げました。累計(1〜9月)でも前年同期比18.0%増と、新興市場として高い成長を続けています。

 

 

「訪日人気」は続くなか、焦点は外部環境

今回の前年比マイナスは、訪日旅行そのものの人気が失速したことを示すものではありません。各市場の動向を見ると、継続する訪日人気は依然として幅広く確認されており、実際に韓国・台湾・シンガポール・インド・メキシコ・ロシア・中東地域の7市場が9月として過去最高を更新しています。

 

マイナスの主因は、中東情勢による航空券価格の上昇という外部環境と、台風・洪水・火山噴火・空港システム障害といった一時的な要因が重なったことにあります。これまで全体を押し下げてきた中国も、下げ幅こそ縮小したものの依然として大幅減が続いており、こうした逆風が重なった結果としての5.0%減といえます。

 

それでもなお、1〜9月の累計は昨年に引き続き3,000万人を突破しました。韓国(累計+21.6%)・中東地域(+18.0%)・インド(+19.0%)・メキシコ(+25.8%)・ロシア(+20.5%)といった市場が力強く伸びており、中国以外の多市場が全体を下支えする構造が続いています。購買力の高い中東・インドなどの新興市場や、リピーター化が進む韓国・台湾は、越境ECのカスタマー層としても今後ますます重要性を増していくと考えられます。

 

焦点は航空券価格の行方と年末インバウンド

10〜11月は紅葉シーズンにあたり、例年訪日需要が高まる時期です。今後の焦点は、長距離市場の重しとなっている中東情勢・航空券価格の動向、大幅減が続く中国需要の回復ペース、そして台風をはじめとする一時的要因の収束状況です。年末にかけてのインバウンド消費の本格化に向けて、各市場の動きを注視する必要があります。

 

訪日インバウンド客は越境ECの潜在的なカスタマー層でもあります。訪日体験をきっかけに自国から再購入する越境EC需要の取り込みに向けて、ぜひWorldShopping BIZをご活用ください。

 

※本グラフは転載可能です

 

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