日本政府観光局(JNTO)が2026年6月17日に発表した「2026年5月の訪日外客数(推計値)」によると、5月の訪日外国人数は3,559,900人となり、前年同月比で3.6%減となりました。桜シーズンと夏休みシーズンの間にある閑散期ではあるものの、韓国・台湾・米国・マレーシアなど19市場で5月として過去最高を記録し、そのうち中東地域・インドでは単月過去最高となりました。
また、2026年1月〜5月の累計は1,793万6,000人となり、前年同期比1.1%減と、中国の落ち込みが全体をやや押し下げている状況が続いています。
前年同月比マイナスとなった主な要因は2点です。
1つ目は中国の急落です。中国政府による日本への渡航注意喚起や航空便の減便に加え、前年は5月末に設定されていた端午節が今年は6月中旬にずれ込んだことで、例年5月に発生していた訪日需要が失われました。結果として前年同月比60.4%減と、4月の56.8%減をさらに上回る大幅な落ち込みとなっています。
2つ目はゴールデンウィークによる需要分散です。日本のゴールデンウィーク期間(4月末〜5月上旬)を避ける動きが台湾・香港などの市場で見られ、5月上旬の訪日需要が一部4月後半に前倒しとなりました。
一方で、スクールホリデーや祝日に合わせた訪日需要の高まりにより、東南アジア・欧米・中東など幅広い地域で訪日需要の堅調さが確認されています。
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国・地域別に見ると、以下のような傾向が見られます。
2026年5月の韓国からの訪日外客数は951,300人で、前年同月比15.2%増となり、5月として過去最高を記録しました。継続する訪日旅行人気に加え、前年同月比で航空座席数が増加したことや祝日の影響が寄与しました。韓国市場は2026年に入り毎月プラスが続いており、累計(1〜5月)でも前年同期比20.6%増と際立った伸びを見せています。
台湾からの訪日外客数は616,800人で、前年同月比14.6%増となり、5月として過去最高を記録しました。日本のゴールデンウィーク期間を避ける動きがあったものの、継続する訪日旅行人気と航空座席数の増加が需要を支えました。台湾も累計(1〜5月)で前年同期比22.3%増と、韓国とともに東アジア市場を牽引しています。
中国からの訪日外客数は313,000人で、前年同月比60.4%減と、引き続き大幅な落ち込みが続いています。渡航注意喚起や航空便の減便に加え、例年5月末に訪日需要を生み出していた端午節が今年は6月中旬にずれ込んだことも影響しました。累計(1〜5月)でも前年同期比56.2%減と、市場全体への影響が顕著に現れています。
香港からの訪日外客数は207,900人で、前年同月比7.7%増となりました。前年同月と比較して航空座席数が減少したことや、ゴールデンウィーク期間を避ける動きがあったものの、祝日の影響等で前年同月を上回りました。
タイからの訪日外客数は98,800人で、前年同月比8.6%減となりました。継続する訪日旅行人気があるものの、祝日の並びが昨年と比べて悪かったことや訪中旅行の継続的な人気が影響しました。
シンガポールからの訪日外客数は76,600人で、前年同月比21.1%増となり、5月として過去最高を記録しました。スクールホリデーや祝日が訪日需要を押し上げました。
マレーシアからの訪日外客数は72,200人で、前年同月比39.6%増となり、5月として過去最高を記録しました。スクールホリデーや祝日の影響が大きく寄与しており、東南アジア市場の中でも特に高い伸び率となりました。
インドネシアは56,800人(+8.6%)、フィリピンは85,000人(+2.8%)でともに5月として過去最高を記録。5月は夏場に向けて需要が落ち着く時期ながら、祝日やスクールホリデーが訪日需要を後押ししました。
インドからの訪日外客数は56,500人で、前年同月比31.3%増となり、単月として過去最高を記録しました。デリー〜羽田間・ムンバイ〜成田間の増便と、2026年1月開設のデリー〜成田間新規路線の効果が継続しています。スクールホリデーの需要も重なり、南アジア市場としての勢いが鮮明です。
米国からの訪日外客数は333,700人で、前年同月比7.0%増となり、5月として過去最高を記録しました。混雑するシーズンや夏場を避けて5月に訪日する需要が一定数存在しており、継続する訪日旅行人気と相まって高水準を維持しています。
カナダは69,400人(+4.6%)で5月として過去最高。メキシコは19,700人(+30.6%)で5月として過去最高を記録しました。メキシコは経由便の多様化や若年層を中心とした訪日需要の高まりが背景にあります。
今回の前年比マイナスは、中国という一市場の落ち込みが全体を大きく押し下げた結果です。中国の313,000人という数字が5月全体に与えた影響を取り除いて考えると、それ以外の市場は全体として堅調な水準を維持しています。
実際、19市場が5月として過去最高を更新しており、韓国・台湾・東南アジア・欧米・中東・インドと地域を問わず訪日需要が広がっています。4月に引き続き「中国を除いた多市場型の訪日構造」が改めて確認された月と言えます。
中東地域の急伸(+67.8%)も注目に値します。祝日の前倒し効果があったとはいえ、単月で39,000人に達したことは、新興インバウンド市場として中東が成長軌道に乗っていることを示しています。購買力の高い中東富裕層は、越境ECのプレミアム市場としても今後の注目度が高まっています。
5月は桜シーズンと夏休みシーズンの間の閑散期にあたり、多くの市場で需要が落ち着く傾向がある月です。今後6〜8月にかけて夏の訪日シーズンが本格化するなかで、中国需要の回復の行方と、欧米・東南アジア・中東からの夏需要の積み上がりが注目点となります。
訪日インバウンド客は越境ECの潜在的なカスタマー層でもあります。訪日体験をきっかけに自国から再購入する越境EC需要の取り込みに向けて、ぜひWorldShopping BIZをご活用ください。
※本グラフは転載可能です
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