観光庁が2026年4月15日に発表した「インバウンド消費動向調査 2026年1-3月期(1次速報)」によると、訪日外国人の旅行消費額は2兆3,378億円(2025年同期比2.5%増)となりました。
数字の上では堅調な成長が続くように見えますが、今期は国籍・地域別の構成に大きな変化が起きています。
消費額の国籍・地域別では、台湾が3,884億円(構成比16.6%)と初めて首位に立ちました。次いで韓国3,182億円(13.6%)、中国2,715億円(11.6%)、米国2,592億円(11.1%)、香港1,482億円(6.3%)の順となっています。
最大の注目点は中国の急減です。前年同期の5,478億円から2,715億円へと50.4%減と半減しており、訪日中国人旅行者数も前年同期比50.3%減となっています。コロナ禍からの回復が続いていた中国インバウンドに、2026年に入って急ブレーキがかかった形です。
一方、急増しているのが欧州勢とアジア新興市場です。
| 国籍・地域 | 消費額 | 前年同期比 |
| 台湾 | 3,884億円 | +22.5% |
|
韓国 |
3,182億円 | +12.7% |
| 米国 | 2,592億円 | +16.6% |
| オーストラリア | 1,389億円 | +20.7% |
| ベトナム | 777億円 | +71.3% |
| 英国 | 535億円 | +46.9% |
| ドイツ | 380億円 | +59.6% |
| スペイン | 176億円 | +64.0% |
| 中国 | 2,715億円 | ▲50.4% |
ベトナムは前年同期比71.3%増、英国46.9%増、ドイツ59.6%増、スペイン64.0%増と、欧米・東南アジアからの旅行者が急速に拡大しています。
費目別の構成比を見ると、宿泊費が36.7%(8,571億円)と最も多く、次いで買物代25.2%(5,895億円)、飲食費22.9%(5,351億円)の順です。
2025年同期と比較すると、大きな変化があります。
| 費目 | 2026年1-3月 | 2025年1-3月 | 増減 |
| 宿泊費 | 36.7% | 33.5% | +3.2pt |
| 飲食費 | 22.9% | 22.3% | +0.6pt |
| 交通費 | 10.1% | 10.0% | +0.1pt |
| 娯楽等サービス費 | 5.1% | 4.7% | +0.4pt |
| 買物代 | 25.2% | 29.4% | ▲4.2pt |
買物代の構成比が29.4%→25.2%と4.2ポイント低下しています。この変化は越境EC事業者にとって重要な示唆を含んでいます。旅行中に日本の商品を体験し、帰国後に越境ECでリピート購入するという行動パターンが定着しつつある中、旅行中の買い物自体は減少傾向にあります。「日本でまとめ買い」から「帰国後にオンラインで継続購入」へのシフトが進んでいる可能性があります。
国籍・地域別に費目の内訳を見ると、買物代は中国が890億円と、訪問者数が半減した中でも各国・地域の中で最も高い水準にあります(1人当たりでは8万4,621円)。一方、台湾は買物代1,297億円と総額では首位となり、越境EC視点でも有望な市場といえます。
ベトナムは宿泊費が4億7百万円(1人当たり19万7,976円)と突出して高く、長期滞在型の旅行者が多いことが読み取れます。
訪日外国人(一般客)の1人当たり旅行支出は平均22万1千円(前年比0.6%減)となっています。
国籍・地域別では、フランス(40万8千円)、オーストラリア(40万4千円)、ドイツ(39万9千円)の順で高く、欧州・オセアニアからの旅行者が1人当たり高い消費をしています。費目別に見ると、宿泊費はベトナム、飲食費はスペイン、交通費はドイツ、娯楽等サービス費はオーストラリア、買物代は中東がそれぞれ最も高い支出を示しました。
最も訪日数の多い韓国は10万4千円と、調査対象国の中で最も支出が低い結果となっています。
今期の調査結果から、越境EC・インバウンドビジネスに携わるEC事業者が押さえておくべきポイントは3点です。
台湾が消費額首位に浮上したことは、越境ECにとってもビッグシグナルです。台湾からの旅行者は買物代が1,297億円と高く、日本商品への購買意欲の高さが改めて確認されました。日本旅行を経験した台湾人旅行者が帰国後も購入を続けるリピート需要を取り込むために、台湾向けの越境EC施策を強化する好機です。
中国消費額の半減は、単一市場への依存リスクを改めて示しました。欧州(英・独・仏・西)やベトナム・インドネシアなどの伸びが著しく、これらの成長市場への展開を並行して進めることが重要です。特に欧州の旅行者は1人当たり支出が高く、ブランド価値の高い日本製品への購買力を持っています。
買物代の構成比低下は必ずしも悪いニュースではありません。日本旅行が越境EC購入の「きっかけ」となり、帰国後のオンライン購入につながる流れが強まっていると解釈することもできます。訪日経験者をターゲットにした越境ECのマーケティング施策が、今後ますます重要になってくるでしょう。
インバウンド消費の裾野が広がり、台湾・欧州・東南アジアなど多様な市場からの旅行者が日本への購買意欲を高めています。この需要を越境ECで確実に取り込むには、多言語・多通貨対応のグローバル販売体制が欠かせません。
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